Facebook社は6月22日(米国時間)、コマース領域におけるさらなる取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、より充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表しました。
人々のショッピング体験はこの数十年で変化を続けています。店頭を訪れるだけでなく、オンラインで購入したり、現在ではARを活用して自宅にいながらサングラスを試着するといったバーチャル体験も可能になりつつあります。パーソナライズされた広告を使って顧客にアプローチする方法を小売ビジネスに提供するなど、これまでもコマースはFacebook社のDNAの一部でしたが、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で事業をオンライン化するビジネスを支援すべく、ショップ機能の導入を加速させました。なお、ショップ機能は導入から1年強が経ち、現在の月間アクティブショップ数は120万、毎月ショップを訪れる利用者の数は3億を超えました。
オンラインへのシフトやソーシャルファーストなショッピング体験は一時的なトレンドではありません。世界の消費者の3人に1人が、パンデミックが収束しても店頭での滞在時間は減るだろうと回答しており、4分の3近くがFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppからショッピングのアイデアを得ていると回答*1しています。Facebook社では、ショップ機能へさらなる投資を行うことで経済回復を継続的に支援すると共に、2022年6月までの1年間、FacebookとInstagramのチェックアウト(決済)機能*2を利用している出品者への手数料を免除します。
広告によるショッピング体験のパーソナライズ化
ビジネスには、顧客に対してシームレスで関連性の高いショッピング体験を提供したいというニーズがあり、当社もFacebookのニュースフィードやInstagramのフィードのように、利用者ごとにパーソナライズされたショッピング体験を提供したいと考えています。このような背景から、利用者のショッピングの好みに応じてパーソナライズされた広告体験を提供するショップ広告を導入します。
例えば、FacebookやInstagram上のショップで商品を閲覧して購入するのか、それともビジネスの自社サイトから購入するのかなど、利用者の普段のショッピング行動に基づいて、最も商品を購入しそうな場所に送客できる広告を米国でテストしています。将来的には、特定の顧客に特別なオファーやプロモーションを提供することで、ビジネスがショップ広告をさらにパーソナライズできる方法を検討していきます。
これらのソリューションは、ビジネスが適切なオーディエンスを見つけるためのショッピングカスタムオーディエンスや、商品タグをつけた投稿を配信し、ショップの商品詳細ページへ送客する広告などの既存ツールをベースにしています。このようにパーソナライズされたショップ広告を活用することで、ビジネスは顧客に商品の発見から購入までを促すことができます。
未来のショッピング体験を実現する新たなテクノロジー
Facebook社は、ARやAIなどのイマーシブテクノロジー(没入型技術)に投資していますが、このような技術は、今後のオンラインでのショッピング体験の基盤になると考えています。具体的には、InstagramにAIを活用した新たなビジュアル検索ツールを導入し、利用者がより簡単に新しい商品を発見できるようにするほか、AR体験を通じて購入前に商品を体験し、イメージしやすくなるようにします。
Instagramでは、ショッピングは視覚的な発見から始まります。利用者は毎日のようにアプリの画面をスクロールしており、指が止まるようなインスピレーションあふれるコンテンツを目にすると、そこから新たなショッピングジャーニーが始まります。そこで今年、AIを活用した新たなビジュアル検索機能のテストを米国で開始します。例えば、花柄のワンピースを気に入って画像をタップすると、類似商品を見つけることができるようになります。将来的には、利用者がカメラで撮影した画像からもビジュアル検索を利用できるようにする予定です。まだ初期段階ではありますが、ビジュアル検索を導入するとこでInstagram上のより多くの画像や動画からショッピングを楽しむことができるようになり、モバイルでのショッピング体験がさらに充実すると考えています。
多くの国で実店舗の営業が再開しつつありますが、オンラインショッピング利用者の3分の2は、自宅という快適な空間で商品をバーチャルで試着したいと回答*3しています。そこで、顧客が商品を購入する前に使用感を試すことができるよう、API連携を通じて、ARを活用した試着体験をビジネスがより簡単にショップ機能内で提供できるようにします。
現在はModifaceやPerfect Corp.と共同でビューティ業界のパートナー向けAPIを試験的に導入しており、商品をバーチャルで試すことができるよう、LancomeやLaura Mercier、Armaniなど330のビューティブランドがInstagram上のショップでAR体験を提供しています。今後はインテリアなど、ビューティ以外の業界にも提供を拡大していきたいと考えています。
AR広告は提供を開始してから1年以上が経過し、興味深い事例が多く生まれています。現在、優れたパフォーマンスを誇る既存の広告プロダクトにARを統合し、Facebook上で商品を販売するビジネスにより充実したオプションを提供することを検討しています。また、近い将来、ビジネスや広告主がより簡単に、コスト効率良くカタログをARに取り込めるようにしたいと考えています。
また、一連の取り組みの一環として、Facebook上でAR対応のダイナミック広告を試験的に導入しています。広告主がAR商品カタログをアップロードすると、利用者の興味関心に関連する商品が自動的に表示され、広告を通じてARを活用したバーチャルな試着体験を訴求することができるようになります。現在はMAC Cosmetics、HudaBeauty、NARS、Maybelline、Urban Decay、Beauty Bakerieがテストに参加しており、年内にはさらに多くのビジネスにテスト対象を拡大する予定です。
上記のアップデートに加え、一部の国ではショップ機能をWhatsAppとMarketplaceにも拡大し、当社が提供するプラットフォーム上で利用者がより簡単にビジネスのショップにアクセスし、商品を発見できるようにします。また、今後数ヶ月のうちに、Instagramのチェックアウト(決済)機能に対応している商品について、商品を購入した顧客がレビューや評価を投稿できるようになります。
Facebook社は、ビジネスのオンライン化を支援し、利用者により充実したショッピング体験を提供するため、コマース領域の機能拡充に今後も注力していきます。
*1 Facebook IQ「未来のショッピングが早く来た:業界からの視点」レポートより
*2 チェックアウト(決済)機能は現在、米国のみ対応。日本を含む米国外は導入時期未定
*3 Facebook IQ「未来のショッピングが早く来た:業界からの視点」レポートより