本日開催したMeta Connect 基調講演において、Meta創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグは、AI グラスの進化形となる「Meta Ray-Ban Display」と「Meta Neural Band」を発表しました。
Meta Ray-Ban Displayグラスは、手元に視線を下げずに、物事に集中し続けられるように意図されており、注意をそらされずに、常に物理世界に意識を向け続けることができるように設計されています。レンズ内のディスプレイを素早く確認するだけで、メッセージの確認、写真のプレビュー、視覚的なMeta AIプロンプトでの共同作業など、スマホを取り出すことなく日常のタスクを行うことができます。
この新たなカテゴリーとなるAIグラスは、フルカラー高解像度ディスプレイを搭載しています。必要な時に表示し、不要な時には消すことも可能です。マイク、スピーカー、カメラ、そしてコンピューティングとAIを基盤としたフルカラーディスプレイを、ひとつのデバイスに統合した初の製品で、スタイリッシュで快適、かつ装着しやすいように設計されています。
各製品にはMeta Neural Bandが付属します。これは筋肉の動きによって生み出される自然な信号を感知し、グラスの機能を操作するEMGリストバンドです。これにより、AIグラスに触れたりスマートフォンを取り出したりすることなく、わずかな手の動きだけで直感的に操作できます。Meta Neural Bandは驚くほど自然に動作し、まるで魔法のような操作が可能です。
価格、デモ体験、詳細について
Meta Ray-Ban Display本体とMeta Neural Bandの価格は、セットで799米ドルより展開します。Meta Ray-Ban Displayはこれまでにない新しい体験や、学び、そしてやり取りを可能にします。米国時間9月30日より米国の一部実店舗(Best Buy, LensCrafters, Sunglass Hut, Ray-Ban Stores)で発売開始し、その後まもなく、一部のVerizon店舗でも販売開始します。2026年初頭にはカナダ、フランス、イタリア、英国への展開を予定しています。 お客様に最適なグラスとリストバンドをお届けするため、まずは一部の小売店と地域から開始し、購入オプションを順次拡大していく予定です。
Meta Ray-Ban Displayと付属のMeta Neural Bandはブラックとサンドの2色展開です。さらにスタイルの多様性も重視し、スタンダードサイズとラージサイズの2種類のフレームサイズで発売予定です。全モデルにTransitions®レンズを採用し、屋内・屋外、昼夜を問わず着用できます。最大6時間のバッテリー持続時間、さらに携帯可能な折りたたみ式充電ケースを使用すると、最大30時間の総バッテリー持続時間を確保できます。Meta Neural Bandは3サイズ展開で最適なフィット感をお選びいただけます。
パラダイムシフトとなる新たなウェアラブル技術をぜひお試しください。
スタイルと機能性の融合
EssilorLuxotticaとの共同開発において、Metaの目標はシンプルでした。見た目も装着感も最高のものにすることです。そこでプレミアムなアイウェアデザインを統合し、内部のテクノロジーと同様に大胆なフォームファクターを実現しました。
Meta Ray-Ban Displayは、Wayfarerの象徴的な形のDNAを継承しつつ、高さのあるデザインで、より際立ったスクエア形状にすることで大胆な美しさを実現しました。さらにエッジをわずかに丸めることで快適性を向上させ、より美しいデザイン、かつ耐久性を向上させました。また、グラスの前面にわずかなカーブを持たせることで、眩しさを軽減しながら快適性とフィット感を向上させています。
オーバーエクステンションヒンジにチタンを採用し、装着感を向上させ、重量を最小限に抑え、強度を最大化しました。
さらにこの形状では初となる超薄型スチール缶型バッテリーを採用しました。これによりテンプルアームの薄型化を実現しつつ、長時間駆動を可能にしています。このバッテリーの開発はディスプレイ付きグラスを念頭に開始されましたが、多くの技術と同様に、Oakley Meta HSTNやRay-Ban Meta(第2世代)グラスなど他製品にも応用され、これらの製品も通常使用時でバッテリー寿命が最大8時間になりました。
そしてこれら全てを含めた上で、わずか69グラムという驚異的な軽量化に成功しました。
ディスプレイの詳細解説
Ray-Banの名にふさわしい洗練されたグラスに全てを収めるため、ディスプレイ全体を再設計しました。単眼ディスプレイには高度にカスタマイズされた光エンジンとジオメトリックウェーブガイドを採用しています。ファッション性の高いフレームに収まるよう小型化したカスタムモジュールにより、高い演算効率、鮮明なコントラスト、高輝度を実現しました。これにより、フレームサイズを大きくすることなく高解像度を可能にしました。
視野角1度あたり42ピクセルを詰め込み、ディスプレイの表示性能を向上させました。余談ですが、1度あたり42ピクセル(ppd)を超えるウェーブガイド方式のデバイスは、もう市販されていない大型ヘッドセットのみとなっています。
調光レンズと自動輝度アルゴリズムにより、屋内外を問わず鮮明で色彩豊かな視覚体験を提供します。また、周囲の人々の前でディスプレイ付きグラスを違和感なく着用できることも重要です。明るさと自然な見た目のバランスを考慮し、レンズ内ディスプレイの光漏れはわずか2%に抑えています。Ray-Ban Metaグラス同様に撮影用LEDが点灯することで、写真や動画、ライブ配信用に撮影していることを周囲に知らせます。
Meta Ray-Ban Displayの設計では、ディスプレイの光度と、周囲の人や物との遮断されないことのバランスを考慮し、ディスプレイは視界を遮らないよう端に配置しています。常時表示ではなく、利用者が常に制御できる短時間の操作を想定しています。これはスマートフォンを顔に装着するようなものではなく、自然な流れを妨げることなく、日常的なタスクを素早く実行する支援となるものです。
EMG:シームレスな操作の科学
新たなコンピューティングプラットフォームには常に新たなインタラクション方法が伴います。Metaが開発した「Meta Neural Band」は、最先端の表面筋電図技術をスタイリッシュな入力デバイスとして設計した製品であり、大きな期待を寄せています。現代技術のタッチスクリーンやボタン、ダイヤル操作を、手首に装着するリストバンドのセンサーで置き換えることができます。これにより、静かにスクロールしたりクリックしたり、近い将来にはわずかな指の動きでメッセージを書き出すことさえ可能になります。
このリストバンドが検知可能な信号量は驚異的な数です。視覚的に認識される前段階の動きさえも感知できる精度を備えています。
最大のブレークスルーは、約20万人の同意を得た研究参加者のデータに基づくディープラーニングアルゴリズムの開発でした。これにより、このリストバンドは箱から出してすぐに、ほぼ全ての利用者に対応します。人々の筋肉の動きには個体差が大きいため、これは技術的に大きな偉業といえるでしょう。これは、脊髄損傷、身体の不自由な方、震え(振戦)、その他の神経運動機能に関わる課題を持つ人々への潜在的な可能性を秘めています。
理論上はあらゆる動作に対応可能な数えきれないほどの運動ニューロンが存在するので、EMG技術はグラス型デバイスに止まらない可能性があり、あらゆるデバイスを制御する最良の方法となるかもしれません。
EMGのローデータの全処理はデバイス上で実行されます。リストバンドからAIグラスへ送信されるのは「クリック」などのイベント信号のみであり、これによりコマンドが実行されます。このデバイス内の機械学習により、触覚フィードバックと時間の同期の信頼性も実現しています。
Meta Neural Bandは耐久性に優れ、軽量で一日中快適に着用できるよう設計されています。バッテリーは最大18時間の持続時間とIPX7防水規格性能を備えています。バンドにはダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施した電極を採用し、これをベクトラン(Vectran)というメッシュ素材で補強しています。ベクトランは引っ張ると鋼鉄並みの強度を持ちながら、柔軟に曲がる織物素材で、火星探査機の着陸クッションにも使用されています。
Meta Ray-Ban Displayの体験
Meta Ray-Ban Displayは、Ray-Ban Meta グラスのファンに愛されている機能をすべて強化し、これまで以上に豊富な情報、機能性、そして自由度を提供します。Meta Ray-Ban Displayの体験は、日常のあらゆる場面で自信を高め、行動や視界の明瞭さを向上させるよう設計されています。
高解像度ディスプレイとMeta Neural Bandの追加により、Ray-Ban Metaの魅力的な機能をさらに進化させると同時に、新たな機能も追加しました。Meta Ray-Ban Displayの特別な体験の一部をご紹介します:
- 視覚的なMeta AI:グラスに搭載しているMeta AIは、視覚情報と連動することでこれまで以上に多くのことが可能になります。音声読み上げだけでなく、回答やステップバイステップの操作手順を視覚的に表示可能になりました。Meta Neural Bandで親指を左右にスワイプするだけで、簡単に手順を進められます。
- メッセージ&ビデオ通話:短いテキストやWhatsAppメッセージ、友達が共有するリールをグラスに表示させることで、その瞬間の場にいながらもオンラインでつながりを保つことが格段と容易になります。Meta Ray-Ban Displayなら、WhatsApp、Messenger、Instagram、そしてスマートフォンからのテキストやマルチメディアメッセージを、何も持たずピンチ操作だけでプライベートに閲覧可能です。さらにWhatsAppやMessengerからのライブビデオ通話を受け、グラスを通して自身が見ている景色を友達に共有することもできます。
- プレビュー&ズーム:リアルタイムのカメラビューファインダーとズーム機能で、一発で完璧なショットを撮影できます。ディスプレイでお気に入りの写真や動画を簡単に選択・共有できます。
- 歩行者ナビゲーション:スマートフォンを使わずに目的地まで徒歩の道案内ができます。目的地を選択すると、グラスのディスプレイに周辺地域のビジュアルマップが表示され、ターンバイターン方式の歩行ルート案内が提供されます。歩行者ナビゲーションは一部都市でベータ版として提供を開始し、順次対応地域を拡大していきます。
- ライブ字幕&翻訳:Meta Ray-Ban Displayはライブ字幕機能によって言語の障壁を取り払います。機能をONにすると、あなたに向けられた発言を字幕として表示したり、選択した特定の言語をリアルタイムで翻訳したりできます。これにより、集中してその場の会話を楽しむことができます。
- 音楽再生:グラスのディスプレイにディスクジャケットを表示し、再生中の楽曲をリアルタイムに確認できます。親指で左右にスワイプして楽曲を操作したり、指をつまんで手首を回転させることで、まるで実際のスピーカーのダイヤルを回すように音量を調節できます。
Ray-Ban Metaグラスで行ってきたことと同様に、Metaは今後もコミュニティと共に新たな体験を創出し、利用者の要望に応え続けます。今後数ヶ月でMeta Ray-Ban Display向けの専用のInstagramリールアプリやEMG手書き入力など、ソフトウェアアップデートを順次提供予定です。
ウェアラブルファミリー
本日発表したMeta Ray-Ban Displayをはじめとし、MetaのAIグラスは以下の3つのカテゴリーに分類されます:
- カメラ付きAIグラス:Ray-BanとOakleyという世界最高峰のアイウェアブランドと連携し、今後もスタイルやブランドの拡充を進め、AI対応機能のさらなる強化を図ります。
- ディスプレイ付きAIグラス:Meta Ray-Ban Displayは、高性能で状況に応じたディスプレイを核とした新たなカテゴリーを切り拓きます。
- 拡張現実(AR)グラス:Metaの「Orion」プロトタイプのようなARグラスは、大型ホログラフィックディスプレイや高帯域入力、そして周囲の世界を拡張するデジタル体験を特徴としています。
昨年のMeta Connectでお見せした画期的なプロトタイプ「Orion」の消費者向け版の開発も着実に進行中です。今後の進捗にぜひご期待ください。
未来へ
Meta Ray-Ban Displayは、人々の生活を中心に据えた次世代型コンピューティングプラットフォームを構築するというMetaのビジョン実現の一環であり、人々がより今この瞬間に集中し、世界とより深くつながり、それぞれの本領を発揮できるようにすることを目指します。この10年間Reality Labsの研究で学んだことは、このような野心的なアイディアを実現するためには、揺るぎない信念と、新たなものを生み出す確固たる意志が不可欠だということです。この分野においてMetaほどの技術・人材・時間へ投資している企業は他にありません。
Meta Ray-Ban Displayの開発はAIグラスだけでなく、ウェアラブルテクノロジーの未来の新たな一章になります。人と人をつなぎ、世界との関わりを拡張しながら、新しい未来への礎を築いていきます。
※Meta Ray-Ban Displayは日本では未発売で購入できません。