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Meta、「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」を「CEATEC 2022」内で開催〜メタバースの未来を体験できる展示を一般に初公開〜

Metaは、2022年10月18日から21日までの4日間、「CEATEC 2022」内において、共創によるメタバースの構築を促すイベント「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」(以下、「本エキスポ」)を開催しました。今年7月、本エキスポはメディアと一部関係者向けに限定して先行開催され、約2,000人が来場しました。今回は、業界関係者をはじめとしたより多くの人達にメタバースの未来を体験していただくため、会場内最大級のエキシビションと3日間に及ぶカンファレンスを、初めて一般公開しました。前回に引き続き、メタバースビジネスを牽引している日本の約30の企業、団体が集結し、一体となってメタバースの現在・将来像を発信しました。


開会の挨拶ではMeta日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤将宏が登壇し、今回初めて本エキスポを一般公開したことについて「CEATECの場所で、オープンに多くの方々と一緒にメタバースの未来を話し合い、そして体験いただける機会を持てたことを非常に嬉しく思っている。」と話しました。

続けて、Metaのミッションは「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」であると話し、Metaの考えるメタバースは「ソーシャルテクノロジーの次なる進化であり、物理的な世界ではできないことを可能にし、大切な人たちとより深くつながることのできる相互接続されたデジタル空間である」と説明しました。

また、メタバースは経済的にも大きな可能性を秘めているとした上で、メタバースが2031年までにアジア太平洋地域にもたらす経済効果は1兆米ドル *1、2035年までに日本にもたらす経済効果は870億米ドル〜 1650億米ドル (約12~24兆円)*2と試算されている調査結果を発表しました。

さらに、メタバースの構築におけるMetaの役割は、基盤となるハードウェア、ソフトウェア、関連するさまざまなテクノロジーの開発をサポートすることと説明し、10月11日(米国時間)に開催したMeta Connect 2022で発表された、Meta Quest Pro といったハードウェアだけでなく、生産性、共同作業、クリエイティビティの向上をサポートする新しい機能が追加されたMeta Horizon Workroomsなど、これからの働き方を進化させるためのソフトウェアの開発にも力を入れていると強調しました。

さらに、日本は、VRやARといった新しい技術に対する利用者の期待が高く、トップクラスのIPを開発する優秀な開発者が多いことから、メタバース構築において、需要面でも供給面でも、最も重要な市場の1つと考えていると話し、9月に発表した次世代XRクリエイター向け教育プログラム Immersive Learning Academy を紹介し、「メタバースの構築において、最新の技術を理解したクリエイターの存在が重要」と強調しました。

最後に、日本独自で行っている取り組みの一つとして本エキスポの開催があると説明し、「共創をテーマに掲げ、産官学で健全でオープンなメタバースを作っていくためのディスカッションをするきっかけの場としてスタートしました。今回、CEATECにおいてMETAVERSE EXPO JAPANを非常に多くの方々一緒に開催できたことを嬉しく思っている。メタバースの未来についてみなさんとディスカッションしていきたい」と話しました。

本エキスポでMetaが紹介したコンテンツのハイライトは以下の通りです。

トークセッション「教育におけるメタバースの利用可能性」

2日目には、メタバースの活用に期待の高まる分野の1つである教育におけるメタバースの利用可能性についてのトークセッションに、Facebook Japan 公共政策本部 部長 小俣栄一郎が登壇しました。メタバースには、ゲームやエンターテインメントだけでなく、健康・福祉、仕事の在り方、コマース、文化・創作活動、そして教育などあらゆる分野において幅広い可能性があると考えています。そこで、Metaがメタバース構築の取り組みを支援するために設立した「XRプログラム・研究基金」のパートナーであり、外国語教育においてVRを始めとしたEdTechを活用し、その可能性について研究を進めている中央大学国際情報学部 斎藤 裕紀恵准教授と共に、教育分野でのVRの活用についてディスカッションが行われました。

大学の授業でVRを活用している斎藤先生は、アバターを使用してソーシャルプレゼンス、まさにその場にいることを感じることができる点がVR空間の特徴であると述べながら、初めてヘッドセットをつけた学生から、その圧倒的な臨場感に驚きの声が毎回あがると話しました。アバターを使用することにより緊張が和らぎ、特有の不安感が低減すること、自由に設定できるVR空間で色々な想定に合わせて適切な表現、単語を実践的に学ぶことができること、またモチベーションの維持・向上や学習者のエンゲージメントを高めたり、授業への積極的な参加などの効果がみられることなどを説明しました。そして、実際に、VRを使用した英語レッスン後のアンケート結果からも、話すことへの不安が低減したことや自信がついた、スピーキング力が向上した学生が半数以上いたことが報告されました。

トークセッション後半には、スペシャルゲストとして、VRを活用した授業に参加した学生2名が登壇しました。中央大学国際情報学部に所属する大学4年生の渡辺 竜世さんは、教育のデジタル化について研究する中、プロジェクトとしてVRを用いた英会話授業の計画と実施を行い、教師および生徒の両方の立場を体験した上で、「教師の立場からは、興味を持ってもらえる授業を構成するための切り口になり、生徒としてはVRの空間だからこそできる経験ができる。例えば英単語を暗記する際、電車の中で見た英単語など、どこの場所で見た単語だったかをセットで暗記しているため、VRでは学ぶ環境を自由にカスタマイズできるので、空間と関連づけて何を学んだかを記憶することができる。」と述べました。

同じ学部に所属する大学4年生の堀田 添伊さんは、VR空間内でシミュレーションゲームのように楽しんで学べるよう、ファーストフード店での接客ロールプレイを英語で行い、「教育分野でVRを活用することによって、自身で体験しながら楽しく勉強できるので、学習がより定着しやすいのではないかと感じた。」と話しました。

学生の感想を踏まえ、小俣は「知識の体得・記憶の定着が文脈やシチュエーションの中で行われるること、またVR空間の中であれば、その文脈やシチュエーションを自由に設定することができるという点や、アバターを通じた身体性のある学習が可能になる点は、VRおよび将来的にはメタバースを活用した学習のキーワードになるのではないか。また、この自由度の高さ、そして身体性を伴った経験は、語学教育だけでなく、様々な職業訓練においても応用可能であり、アバターを活用した表現が相俟って、学びをより強化できる点はとても重要である。」と述べました。

最後に、斎藤先生は「改めて体験した学生の声を聞いて、経験が一番大きいのだと気づいた。若い世代の方々が経験することにより、メタバースの未来の可能性を間近に感じることができるので、様々な方に経験をしてもらいたい。そして、未来の可能性を議論していきたい。また、1人のプレイヤーだけでなく、みんなで取り組んでメタバースの新しい可能性を追及していくことが大切である。」と話しました。

小俣も「MetaとしてVRヘッドセットの開発に対して、これからも必要な投資および研究を行っていきたい。また、アプリやコンテンツを制作するクリエイターの方々の支援はもとより、メタバースの構築に不可欠なVRなどのテクノロジーを支える高速大容量通信や同時接続性の実現、そしてコミュニケーションの質をより一層向上するためにレイテンシーの改善など、6GHz周波数帯の改革をはじめとしたインフラストラクチャーの構築に取り組んでいきたい。可能性とともに、課題が見えてきているので、今後はステイクホルダーとともに、どのように乗り越えていくかが問われてくる。」との抱負と期待を示しました。

トークセッション「土佐カン in メタバース」

また、 過去にテレビ朝日で放送していた、今アツい界隈を“あるある”を通して学ぶ人気番組「あるある土佐カンパニー2(ネオ)(@aruaru_tosacom)」とMetaがコラボレーションしたセッションでは、Facebook Japan クリエイターパートナーシップスの小串 良輔が登壇し、お笑いコンビの土佐兄弟さん(@takuyatosa1@tosakyodai_otot)や、動画クリエイターのねおさん(@neo_0606)と共にインフルエンサーならではの視点で見る「メタバース・コンテンツの未来・可能性」について議論しました。

冒頭、バーチャル会議室Meta Horizon Workroomsでメタバースを初体験した時の様子と共に、VR空間でバラエティー番組をどのように実施できるかをVTRで紹介しました。

初めて体験したメンバーは、アバター作りからはじめ、自身に似ているアバターを作成できることに驚き、ホワイトボード機能を使って、皆で絵しりとりを楽しんでいました。離れている人とも簡単にメタバース内で会うことができ、また相手をより身近に感じられることから、土佐兄弟 兄 卓也さんは、「メタバースを活用すれば、離れた場所での収録にも行けるようになる」とコメントしました。トークセッションでも改めてVR初体験を振り返り、土佐兄弟 有輝さんは「普段は言いたいことがなかなか言えなくても、メタバース上ではアバターを通して思っていることを何でも言いやすい空間だった。」と述べていました。実際の収録とメタバース上での収録の違いについて、より相手を近くに感じることができる点、自然な自分を表現できる点、発言しやすい点などが挙げられました。

今後メタバースに期待することについて、ねおさんは、「(Meta Horizon Workroomsで)ペンを使って描く感覚が現実と同じだったので、動物を触った感覚や、食べ物の香りなどが分かるようになると女性の方もより興味を持つきっかけになるのではないか。」と発言していました。

メタバースでの買い物について、天候などの要因により実店舗に足を運ぶのが難しくても、実店舗と同じように陳列された商品を見て購入することができたら良いといった声が挙がりました。これに対し、小串は「メタバースが今後発展していく上で欠かせない点は、皆で協力していくことであり、メタバースは一社で創れるものではない。今回のMETAVERSE EXPOについても様々な企業との共創が不可欠なので、メタバースに企業やお店がより多く参入し、その上でクリエイターやタレントの皆さんが入る、これが集まることによってコンテンツがリッチになり、街ができあがっていく。」と説明しました。

最後に、土佐兄弟 兄 卓也さんは「皆で新しい世界をつくっていく、その世界の中に皆が入っていくことで無限大の可能性があることが分かった。その時代がもうすぐそこであると実感したので、皆で新しい世界をつくっていきたい。」と今後への期待を話しました。また若い世代からも人気のねおさんは、「若い世代はトレンドに敏感なので、これから流行っていくのがメタバース空間であることを、SNSを駆使しながら、皆を巻き込んで盛り上げていけたらと思う。」と述べました。

本エキスポのカンファレンスプログラムのアーカイブは、こちらからご覧いただけます。

*1: Analysis Groupの調査結果によると、メタバースが2031年までにアジア太平洋地域にもたらす経済効果は1兆ドル。参考: Analysis Group, 2022(英語のみ)https://www.analysisgroup.com/metaverse

*2:Deloitteの調査結果によると、メタバースが2035年までに日本にもたらす経済効果は870億〜1,650億ドル。(2022年10月12日時点の為替相場で日本円で約12兆〜24兆円)参考:Deloitte, 2022 The Metaverse in Asia Pacific: Strategies for Accelerating Economic Impact