執筆者:
Andrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)Facebook Reality Labs 責任者
Nick Clegg(ニック・クレッグ)Global Affairs and Communications 担当副社長
- メタバースは、一企業によって一夜にして構築されるものではありません。Facebook社は、政策立案者、専門家、産業界のパートナーと協力して、メタバースを実現してまいります。
- メタバースを構築する製品が責任を持って開発されることを保証するため、Facebook社はグローバルな研究およびプログラムパートナーに5,000万ドルを投資することを発表いたします。
2022年9月14日更新(米国時間9月13日9:00AM更新)
「XRプログラム・研究基金(XR Programs and Research Fund)」が支援する新たなパートナーシップと進捗状況についてお知らせします。
現在のパートナーとの活動におけるハイライトは以下の通りです。
- Colorintech(ヨーロッパ、中東、アフリカ): イギリス各地から AR/VR ワークショップに参加する100 人以上の学生を集め、インクルーシブなメタバースを構想するための 4 つの助成金を大学生に交付しました。
- 中央大学(日本): 国際情報学部准教授の斎藤裕紀恵氏による研究では、VRが、文脈依存度の高い外国語学習において、特にEFL(English as a Foreign Language)学生の学習をいかに向上できるかに焦点を当てています。
- EVERFI(北アメリカ): 2022年の秋、学生が安全かつ自信を持ってメタバースを利用するために必要な情報を提供することを目的としたデジタルリテラシーのカリキュラム、「Get Digital: Safety in the Metaverse」を開始しました。本プログラムの受講生は、メタバースの安全性と健全性を促進するための戦略を認識するなど、重要なデジタルシチズンシップスキルを学びます。
- 米州機構(中南米): 米州機構(OAS)は、Metaとの連携のもと、今後3年間でARの無料オンラインコースを通じて1万人以上のクリエイターを育成するコースを2022年1月に開始しました。またOASは、女性主導の小企業のデジタル化、オンラインプレゼンスの構築、電子商取引による金融サービスや国際市場へのアクセス能力を高めることにより、中米北部三角地帯(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス)の現在および将来的な技術の確保を目的とした「女性の経済力向上プロジェクト」を立ち上げました。
- PROJECT ROCKIT(アジア太平洋): オーストラリアの若者主導のネットいじめ撲滅運動「PROJECT ROCKIT」は、オーストラリア全土から35人の若い世代のリーダーを集め、オンラインで意見交換会を開催しました。参加者の意見は、安全で思いやりがあり、包括的なメタバースにおける責任あるイノベーションを管理するための原則を含む、メタバースに関する機会と考察を概説する報告書に反映される予定です。
- Coders HQ、未来博物館、および Lenslist (中東、北アフリカ): MetaはCoders HQ、未来博物館、Lenslistと提携し、Spark AR Challenge 『Tomorrow Today – What Will the Next Decade Bring?”』を開催しました。3週間に渡るコンテスト期間中、世界中のクリエイターが400以上のエフェクトを投稿したり、刺激溢れるARエフェクトを作成し、未来への創造性と革新性をアピールしました。
- XR Hub Taiwan(アジア太平洋): Metaは台湾の蔡英文総統とともに、Immersive Learning Academyを含む最初のXR Hub Taiwanを開設しました。今回のHubを通じて、台湾のクリエイターたちは、あらゆるレベルのオンラインクラスや対面式ワークショップ、ブートキャンプ、ハッカソンなどを展開しました。また100人以上のトップクリエイターやエージェンシーがこのコミュニティスペースを利用し、革新的なコンテンツを通じてメタバースに現場の声を発信しました。
本日、新たに10団体のパートナーを発表しました。
- Arte D’Egypte(中東、北アフリカ): 2022年10月27日から11月30日の期間、ギザのピラミッドにて国際美術展「Forever is Now」を開催し、展示全体に12種類のARフィルターを活用する予定です。
- Imisi 3D(サブ・サハラアフリカ / ヨーロッパ、中東、アフリカ): The AR/VR Africa Metathonはハッカソンやブートキャンプ、トレーニングプログラムを通じてアフリカのXR人材を支援するプログラムです。3,000人以上のクリエイターや開発者がSpark AR、やUnity VRなどのXRコースを修了します。
- オーストラリア国立大学(アジア太平洋): オーストラリア国立大学のジュヌヴィエーヴ・ベル教授に資金を提供し、テクノロジー企業がメタバースを構築する際に「システム・バイ・デザイン」アプローチを取る方法に関する研究を進め、発表する予定です。研究に関する報告書は年内に発表される予定です。
- African Diaspora Youth Forum in Europe(ADYFE)およびDistrict Spaces (アフリカ、中東、トルコ): ADYFEとDistrict Spacesとの提携によって誕生したDiaspora Meta Labsは、現在のXRにおけるAMET Diasporaの状況をより理解し、XRのインパクトを最大化するための研究を展開しています。最近では、多様な専門家を集め、ディアスポラや移住者のコミュニティにおけるメンタルヘルスに関する複雑な課題を解決するために活動しています。
- HiiiWave(北アメリカ): 米国在住の黒人ミュージシャン団体を招待し、10月のデモデイに向けた一連のイベントを開催します。本起業支援団体は、音楽訓練を受けたXRクリエーターのグローバル人材源と繋がり、人材育成、XRコンテンツ制作、音楽関連XRビジネスモデルの発見を提供することで、BIPOCおよび女性ミュージシャンがメタバース向けの創作に必要なスキルを身につけるための支援をしていく予定です。
- MeitY Startup Hub(インド): MeitY Startup Hubとの連携のもと、「XR Startup Program」を開始する予定です。本プログラムでは、インドで XR 技術に取り組む 成長段階にある40のスタートアップ企業を支援します。さらに、合計80名のイノベーターを選び、アイデア検証のためのブートキャンプに招待する予定です。このうち16名は、研究開発段階から実用的な製品やサービスの開発へとビジネス拡大のための支援を受ける予定です。
- United Nations World Tourism Organization(グローバル): 「See The World Through My Eyes」(#SeeTheWorldThruMyEyes)プログラムを通じて、世界中の10数名のクリエイターが観光大使となるためのトレーニングを受け、各国の都市でクリエイター視点のコンテンツを撮影します。これらのコンテンツは、バーチャルな旅行体験を通じて、安全で持続可能な観光と経済復興を促進するものです。
- World Health Organization(ヨーロッパ、中東、アフリカ): MetaはWHOと共同で、WHOアカデミーが利用できるオープンソースのメディカルアート資産用の図書館を開発しています。これにより、グローバルな開発者が、世界中の医療従事者のための3D没入型学習体験を加速させることができるようになります。
- The Youth Bureau/FONDEN UNGDOMSBUREAUET(ヨーロッパ、中東、アフリカ):メタバースの発展とXRテクノロジーへの社会的対応・準備において若者の声を高めることを目的に、若者、政策立案者、テクノロジー企業を繋ぐ1年間のプログラムを発足しました。このプロジェクトの目的は、若者世代が早い段階からメタバースに関わり、政策立案者が若者を意識したメタバースの準備を行い、テクノロジー企業が若者を取り込んだ技術を生み出すことです。これには、若者、政策立案者、テクノロジー企業を巻き込んだラボ、会議、その他の活動が含まれます。
2022年5月18日更新(米国時間5月18日6:00AM更新)
メタバースのための製品と体験の構築を続けるにあたり、Metaは、新しく加わった世界中の研究・プログラムパートナーの詳細を公開しました。
- Jobs for the Future(米国)との提携により、AR/VR技術が米国の労働者、特に労働市場において歴史的に不利な立場に置かれてきた人々のスキルアップをどのように可能にし、中小企業の競争力の強化に繋がるのかを実証研究します。
- 中央大学(日本)では、国際情報学部准教授の斎藤裕紀恵氏が、外国語の指導と学習の向上につながる研究を行います。
- Project Rockit(オーストラリア)は、コンサルテーションシリーズを通じて、ARやVRとの関わり方に対する若者の視点や、より安全なオンラインソーシャルコミュニティを作るために何が必要かなのかという知見を得ていきます。
- オーストラリア国立大学(オーストラリア)では、メタバースの構造をシステムとして捉え、技術的、社会的、文化的、規制的、環境的要素の相互作用を探求していきます。
- ITS Rio(ブラジル)は、ブラジルを中心とした中南米諸国におけるメタバースイノベーションの機会と課題を特定し、情報発信するための専門家のハブを設立します。
- インターネットと社会に関する研究所(IRIS、ブラジル)は、既存の政策とガバナンスの枠組みにおける没入型テクノロジーにおけるプライバシーとデータ保護について研究していきます。
- C-Minds Eon Resilience Lab (メキシコ)は、メタバースにおけるプライバシー強化技術の応用を含め、経済的機会、プライバシーとセキュリティ、安全、ジェンダー、ガバナンスについて議論し研究するために、地域全体の専門家との協力を深めていきます。
- Fundación Universidad de San Andres(アルゼンチン)は、没入型テクノロジーの研究、メタバースにおける好機と倫理的課題の特定、法的規制アプローチ、社会と技術の相互運用性と包摂性の関連に焦点を当て検討していきます。
- Safernet(ブラジル)は、AR/VR体験における女性や子どもの安全について考えるワークショップやハッカソンなどのプログラムを開催します。
- IP.Rec(ブラジル)は、AR/VRに適用されるブラジルの公共政策について分析します。
2021年10月1日投稿
Facebook社は、人と人をより結び付ける、人間のつながりに根差したテクノロジーを開発しています。Facebook社が支援する次世代コンピューティング・プラットフォームの構築において、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)やコンシューマー向けハードウェアの開発は、物理的な距離やデバイスの有無に関係なく、人と人とのつながりを深めていくことに重要な要素となるでしょう。
メタバースとは?
「メタバース」とは、同じ物理的空間にいない人々がともに創造し、探求することのできる仮想空間を意味します。そこは友人との何気ない時間、仕事、遊び、学び、買い物、創作活動などを楽しむことができる空間です。必ずしもオンラインで過ごす時間をさらに増やすためのものではなく、オンラインで過ごす時間をより有意義なものにすることを重視しています。
メタバースは、ひとつの企業が単独で構築できる空間ではありません。インターネットと同様に、Facebook社の存在の有無に関わらず、メタバースは存在します。また、一夜で構築できるものでもありません。この空間を完全な形で実現するには、今後少なくとも10年から15年はかかると言われています。今すぐ参入を望む人々にとってはもどかしいことですが、「メタバースはどのように構築されるべきか」という難問について十分に検討することが重要だと考えています。
責任あるメタバースの構築に向けて
Facebook社は、政府、業界、学術界の専門家とともに、メタバースにおける課題と可能性を検討してまいります。メタバースの成功には、各種のサービス間に強固な相互運用性を構築し、さまざまな企業が提供するコンテンツを連携させることが重要です。また、人権や市民権の保護を支援するコミュニティを早期に巻き込み、あらゆる人々の権利が保護されるよう、テクノロジーを構築していく必要があります。
Facebook社は以下の分野などでさまざまな外部の人々や団体と協力しながら、リスクの予測やその適切な対処法を模索してまいります。
- 経済的機会:利用者の選択肢を広げ、競争を促すことで、デジタル経済の活性化を維持すること
- プライバシー:データ利用量を最小限に抑え、データのプライバシーを保護するテクノロジーを構築し、人々に自身のデータに関する透明性を与え、自ら管理できるようにすること
- 安全性と公正性:オンライン上での安全性を確保し、不快なコンテンツに遭遇した際の対策機能などを提供すること
- 公平性と包括性:テクノロジーが包括的に、誰でもアクセス可能な方法で設計されていること
XRプログラム・研究基金の設立
これからの長い道のりを見据え、その出発点としてFacebook社は「XRプログラム・研究基金(XR Programs and Research Fund)」を設立しました。さまざまなプログラムや外部機関による研究に2年間で5,000万ドルを投資することで、メタバース構築の取り組みを支援します。この基金を通して、業界のパートナー、人権保護団体、政府機関、非営利団体、学術機関と協力し、これら次世代のテクノロジーをどのように責任を持って構築すべきか検討してまいります。
Facebook社は、最初のパートナーとして以下の団体を支援しています。
- 米州機構(Organization of American States)と協力し、学生、クリエイター、中小企業経営者を対象に職業訓練やスキル開発を支援
- アフリカでは、Africa No Filter、 Electric South、 Imisi3Dの各団体を支援し、「Amplifying African Voices(アフリカの声を広めよう)」のもと、没入型テクノロジーを活用してデジタルストーリーテリングの可能性を広げるクリエイターを支援
- ヨーロッパでは、Women In Immersive TechとともにAR(拡張現実)、VR(仮想現実)、ミクスト・リアリティ(複合現実)分野を牽引する女性や少数グループを支援
また本取り組みの一環として、Facebook社は世界中の学術機関との独立した外部研究を支援しています。
- ソウル大学(Seoul National University) と香港大学(The University of Hong Kong):安全性、倫理性、責任ある設計について研究
- シンガポール国立大学法学部(National University of Singapore)のCentre for Technology, Robotics, Artificial Intelligence & the Law:プライバシーやデータ活用等のテーマを研究予定
- ハワード大学(Howard University):ITにおける多様性の歴史を分析し、メタバースにおけるアクセスと経済的機会に及ぼす影響について研究予定
今後もさらに多くのパートナーとのコラボレーションや進捗状況をお伝えしてまいります。