F8は8時間におよぶ開発者向けハッカソンとして2007年に始まりました(「8」は、従来の8時間のハッカソンに由来)。以来、新たな業界の展望を発表し 、Facebook社を代表する製品を紹介してきました。しかし、F8が発展を遂げるにつれ、多くの開発者から、当社のプラットフォーム上で構築し、革新をおこし、そして成長していくことに役立つ技術的な内容を共有してほしいという声が寄せられるようになりました。
2020年の中止を経て、今年のF8はいまいちど原点に立ち返り、真の開発者向けカンファレンスとして開催しました。将来に視線を向ける際、「人と人をつなぐための革新的なソリューションの発見に向けたサポートを開発者に提供する」という究極の目標に向けた進捗状況を把握することは有意義といえます。このことから本日の発表では、世界中の開発者やビジネスが当社のプラットフォーム上で構築・成長する新たな機会提供を目的としたFacebook社のテクノロジーに焦点を当てています。
ビジネス向けメッセージングおよびツール
Facebook社は、メッセージでのやり取りが、人々やビジネスの主要なコミュニケーション手段になるというビジョンを掲げています。家族や友人とのコミュニケーションに現在使われているものと同じアプリや機能を使って、できるだけ便利かつ面倒でなく、パーソナライズされたものを目指しています。
このビジョンに向けた最初の一歩は、2016年のF8にてMessenger PlatformをオープンAPIとして提供することを発表したときでした。
Instagram用のMessenger APIをすべての開発者に提供
Instagramは文化的・社会的なハブであるだけでなく、利用者が新たなブランドを発見し、ブランドと繋がるための場所でもあります。現在、利用者の90%が何らかのビジネスアカウントをフォローしており、メッセージングがその重要な理由となっています。Instagramストーリーズの返信やダイレクトメッセージ(DM)、メンションなど、ブランドと交流することが顧客にとってますます魅力的となり、ビジネスにとっても重要となっています。
本日、InstagramのMessenger APIをすべての開発者に公開し、各ブランドがInstagram上でのメッセージング体験を提供できるようになりました。これらの新機能により、各ビジネスはInstagramのメッセージングを任意のアプリケーションやワークフローと統合可能になり、より有意義なコミュニケーションを実現することで顧客の満足度を高め、売上拡大につなげることができます。
WhatsApp Business APIを利用して、顧客とのつながりを素早くかつ容易に
毎日、1億7,500万以上の利用者がWhatsApp Businessアカウントにメッセージを送り、商品について問い合わせたり、カスタマーサポートを受けています。WhatsAppを利用してビジネスとつながりを持つ利用者が増える中、WhatsApp Business APIを利用してより容易にビジネス展開し、利用者が簡単にこれらのビジネスとチャットできるための新たなアップデートを発表しました。
- オンボーディングプロセスの迅速化:ビジネスがWhatsApp Business APIの利用を開始するためのオンボーディングプロセスを、数週間からわずか5分に短縮しました。
- ビジネスからのより多くの情報提供:利用者は新型コロナウイルス感染症のワクチンがいつ近隣で接種可能になるか等の最新情報を、WhatsAppで受け取ることに関心を持っています。より多くのビジネスがWhatsAppを利用する中、Facebook社はWhatsAppを利用した顧客とのコミュニケーション方法を日々改善しています。アップデートの1つとして、例えば、特定の商品の在庫が入荷された際に通知するなど、より多種多様なメッセージのニーズに対応します。
- 新たなメッセージング機能:ビジネスをより迅速に進めることができるように、利用者が新たな方法でビジネスと対話できる新しいメッセージング機能を導入します。文字を入力しなくても返信が可能となるリストメッセージや、タップで素早く選択できる返信ボタンなどの機能が追加される予定です。
Login Connect with Messenger :Facebookログインとメッセージングを通じて、顧客関係を深化
Facebookログインは、世界中の何十億人もの利用者がビジネスのアプリやウェブサイトにログインするための便利な方法を提供しています。今回、Login Connect with Messengerにより、利用者はFacebookログインのフローから直接ビジネスとのメッセージングが選択可能になります。
Login Connect設定を有効化したテスト参加者のうち、これまでに70%以上の利用者がメッセージングを選択したことが確認されています。このような顧客との新たな会話という重要な情報源をもとに、ビジネスはメッセージングを通じてエンゲージメントを深め、よりパーソナライズされた効率的なカスタマーケアを提供することができます。この機能は現在クローズドベータ版ですが、今後数ヶ月以内に広く利用可能となる予定です。
Facebook Business Extension: ビジネスアプリケーションを構築するための開発者向けプラットフォーム
Facebook社は昨年、ビジネスがFacebook、Instagram、Messengerでの活動を当社のファーストパーティツールを使用して横断的に管理できるFacebook Business Suiteを発表しました。
今回、新たに発表したのがBusiness Appsです。Facebook Business Suiteに、開発者によって作られたサードパーティツールを追加していく予定です。当社は開発者が構築するツールがビジネスの成功に欠かせないものであると信じており、開発者が提供する製品を何百万社ものビジネスに提供することで、製品の統合と拡張を支援できることを嬉しく思います。
開発者が構築したビジネスアプリをFacebook Business Suiteに統合して紹介するため、当社ではFacebook Business Extensionという開発者向けプラットフォームを提供しています。これは開発者ならびにビジネスが、Facebook Business Suiteとの統合を簡単に行うためのソリューションです。今後数ヶ月以内に開発者コミュニティの皆様に先行アクセスへ招待し、アプリのエコシステムを拡大していきます。
クリエイターツール
Spark AR:ARクリエイターのグローバルコミュニティを強化
Facebook社は、F8 2017において、誰もがARカメラエフェクトをデザインし、Facebookのアプリやデバイスに展開できる当社を代表するフラッグシップAR作成ソフトウェアSpark AR Studioを発表しました。
Spark ARは、世界最大のモバイルARプラットフォームであり、世界190カ国、60万人以上のクリエイターが、200万以上にのぼるARカメラエフェクトをFacebookやInstagram上で公開しています。
ここ数年、SparkチームはモバイルARの可能性を広げる新たな機能を追加しており、最近では、ターゲット・トラッキングやセグメンテーションのアップデートなどを発表しています。
Spark ARは、デジタルな世界と物理的な世界を近づけるというさらに大きなビジョンに向けた取り組みを続けていますが、F8 Refreshにおいて、新たなMultipeer APIのプレビューを披露しました。クリエイターは、複数の通話参加者の間で共有する体験を提供するエフェクトを初めて構築できるようになります。例えば、宇宙空間やキャンプファイヤーを囲むなど、空間の共有感を演出するためのカメラエフェクトや、シンプルなゲームプレイをサポートするためのエフェクトなどが挙げられます。この新しい長尺機能は、クリエイターや開発者が、Messenger、Instagram、Portal上のビデオ通話におけるAR体験を構築するための新たな可能性を切り拓きます。
Spark ARチームは、ビデオ通話におけるARカメラエフェクトの新しい使用例として、シンプルなゲームからお祝いの共有などを紹介しました。Spark ARでは現在、AR Video Callingベータ版の応募を受け付けています。
テクノロジーツール
PyTorch:Facebook社が選ぶAIフレームワーク
PyTorchは、研究のプロトタイピングから生産への展開プロセスを加速させるオープンソースの機械学習フレームワークです。多くのAIリーダーと共同で2016年にFacebook社のAI研究チームが開発したこのプラットフォームは、最先端のAIを発展させるためにオープン性と共同研究の精神を取り入れています。
このフレームワークを投入するまで、AI開発を研究から生産に移すにあたって複数のステップを踏む必要があり、ツールも断片的で相互運用性が低いものでした 。PyTorchはこれらのギャップ解消を支援するものであり、Facebook社は現在、開発者や研究者のエンドツーエンドな体験の完全な効率化を実現できるよう、PyTorchエコシステムの構築を支援しています。
Facebook社は、本日、PyTorchを当社のすべてのAIおよび機械学習モデルを構築するためのデフォルトのフレームワークとすることを発表しました。PyTorchは、研究やエンジニアリングの作業をより効果的、協調的、効率的にするだけでなく、その成果をオープンソースのPyTorchライブラリとして共有し、世界中の何千人ものPyTorch開発者の英知から学ぶことができます。
新人開発者でも、経験豊富なAIのプロでも、誰もがPyTorchから得るものがあり、そのフレームワークを利用することで、開発を始めることがこれまで以上に容易となっています。
未来への投資
F8の開催期間中、IT業界のダイバーシティ化に取り組んでいる団体に寄付をすることが毎年の恒例となっています。今年は、テクノロジーに情熱を持つ女性のためのスキルアップや求職活動のリソースを通じて、ダイバーシティ、平等性、インクルージョンに焦点を当て、成長を加速させることを目指しているグローバルな非営利団体であるGirls in Techに25万ドルを寄付します。
F8 Refreshの基調講演や各セッションはアーカイブされており、リアルタイムでご覧いただけなかった方も、いつでも閲覧いただけます。また、Facebook、Instagram、Twitter上で、ハッシュタグ「#F8Refresh」をつけてハイライトをお届けしています。