困難な問題(Hard Questions)は、Facebookのサービス・製品が社会にもたらす影響について説明するものです。
先日、FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグが米国議会で証言を行いました。彼は500以上の質問を受け、その場でお答えすることができなかったおよそ40の質問については後日回答すると約束致しました。議会には、直接ご回答させていただきますが、この機会に、Facebookが他のウェブサイトやアプリケーション(以下、アプリ)からどのような情報を取得し、そうしたデータをどのように利用しているのかについて、詳しく説明させていただきたいと思います。また、利用者の皆様がどのように共有されるデータを管理できるかについても説明させていただきます。
Facebookは、いつ他のウェブサイトやアプリから利用者に関するデータを取得するのか?
コンテンツや広告の訴求力を高め、利用者の好みやニーズに合ったものにするため、多くのウェブサイトやアプリがFacebookのサービスを利用しています。こうしたサービスには以下のものが含まれます。
- ソーシャルプラグイン:ウェブサイト上の「いいね!」や「シェア」などボタンで、コンテンツなどを簡単にFacebookで共有できるサービス
- Facebook ログイン:Facebookのアカウントを使って、他のウェブサイトやアプリにログインすることができるサービス
- Facebookアナリティクス:ウェブサイトやアプリの運営者が、サービスがどのように利用されているのか把握するために役立つサービス
- Facebook広告と測定ツール:ウェブサイトやアプリが、Facebookの広告主の広告を表示したり、広告をFacebookなどに掲載したり、広告が有効かどうかを把握することを可能にするサービス
Facebookのこれらのサービスを利用しているウェブサイトやアプリにアクセスする際は、Facebookにログインしていなかったり、Facebookのアカウントを持っていない場合でも、Facebookに情報が送られます。これはウェブサイトやアプリが、誰がFacebookを利用しているか把握していないからです。
Facebookだけでなく、「いいね!」や「シェア」に類似したボタン、あるいは同様のログイン機能をもつ多くの企業が、サービスを利用しているアプリやウェブサイトから情報を取得しています。これらの企業も広告サービスを提供していて、利用者の皆様がアプリやウェブサイトにアクセスする際、複数の企業に、同じ情報が送られることもあります。
Facebookは、これらのウェブサイトやアプリから、どのようなデータを取得するのか?
「いいね!」ボタンやFacebookアナリティクスなどのサービスを利用するアプリやウェブサイトから、コンテンツと広告をより良くするための情報が送られてきます。この仕組みをよりご理解いただけるよう、ほとんどのウェブサイトやアプリがどのように機能しているかご説明させていただきます。ここでは例としてウェブサイトを使用しますが、一般的にアプリにも当てはまります。
利用者の皆様がウェブサイトにアクセスすると、ブラウザ(たとえば、Chrome、SafariまたはFirefox)がサイトのサーバーにリクエストを送信します。それにより利用者のIPアドレスが送信され、ウェブサイトはサイトのコンテンツをどこに送るのかを把握することができます。ブラウザやデバイスによって、サポートしている機能が異なるため、ウェブサイトは、利用者が使用しているブラウザとOS (オペレーティングシステム、たとえば、AndroidまたはWindows)に関する情報も取得します。また、過去にアクセスしたかどうかがわかるクッキーも取得します。ショッピングサイトでの、買い物かごへの商品保存機能は、これを利用したものです。
通常、ウェブサイトからは、2つのものがブラウザに送られます。1つは、そのウェブサイトのコンテンツに関する情報です。もう1つは、ブラウザに対し、ウェブサイトでコンテンツやサービスを提供している他の会社に対しリクエストを送るように求める指示です。ウェブサイトがFacebookのサービスを利用している場合、ブラウザはウェブサイトに送っているものと同じような種類の情報をFacebookにも送信しているのです。また、Facebookのツールをいつ提供するかを判断するために必要なため、利用者がどのウェブサイトやアプリを利用しているかという情報もFacebookは取得しています。
これらは、サイトが使用しているどのサービスにも当てはまります。たとえば、Facebookに投稿されたFacebook以外の動画サイト上にある動画を視聴すると、ブラウザからその動画サイトにリクエストが送信されます。そして、その動画サイトがそのリクエストに応えます。
他のウェブサイトやアプリから取得したデータを、Facebookはどのように利用しているのか?
Facebookは、データに関するポリシーで、受け取った情報をどのように取り扱っているかを詳しく説明していますが、さらに読みやすくするため、先日ポリシーを更新しました。Facebookが他のウェブサイトやアプリから取得した情報を利用するのには、3つの主な目的があります。ウェブサイトやアプリにFacebookのサービスを提供すること、Facebookの安全性とセキュリティを向上させること、そしてFacebook自体の製品・サービスを強化することです。それぞれの目的について下記にて説明させていただきますが、まず、Facebookが利用者の皆様のデータを売却することはないということをお伝えさせていただきます。
Facebookのサービス提供
- ソーシャルブラグインとFacebook ログイン:これらのサービス提供を可能にするために、Facebookは、IPアドレス、ブラウザ/OS オペレーティングシステムの情報、利用しているウェブサイトやアプリのアドレスを活用しています。たとえば、IPアドレスがわかると、「いいね!」ボタンをブラウザに送信し、利用者の使用言語で表示させることもできます。クッキーやデバイスの識別子によって、利用者がログインしているかどうかがわかり、コンテンツを共有したり、Facebookアカウントを使って別のアプリにログインする場合に便利です。
- Facebookアナリティクス:Facebookアナリティクスは、ウェブサイトやアプリがどのように利用されているかを示すデータを提供します。IPアドレスは、利用者の方々がどの国でそのアプリを利用しているのかを把握するのに役立ちます。ブラウザとオペレーティングシステムの情報は、アプリにアクセスするために使用するプラットフォームに関する情報をアプリ開発者に提供します。クッキーなどの識別子があれば、訪問者数を集計することができます。また、クッキーによって、Facebook利用者を識別することも可能で、アプリを使用する利用者の年齢や性別などの統計情報を提供することができます。
- 広告:Facebook Audience Networkによって、Facebook広告主の広告を他のウェブサイトやアプリで表示することが可能になります。Audience Networkの広告を掲載したいという要望があった場合、送信先のほか、使用しているブラウザやOS オペレーティングシステムの情報が必要になります。クッキーやデバイスの識別子により、Facebookの利用者かどうかがわかります。利用者でない場合は、Facebookのアカウント登録を勧める広告を表示することがあります。利用者の場合は、Facebookで表示される広告と同じものを表示します。また、利用者がウェブサイトやアプリを過去に訪問したという履歴を利用して、このウェブサイトやアプリの広告や、類似性の高い広告をFacebookでも表示することもできます。
- 広告計測:広告主は、コンピューターコードであるFacebookピクセルをサイトに追加することができます。これにより、個人情報を共有することなく、広告を表示したデバイスが異なる場合でも、広告主は広告に反応した人は何人いるのかという統計を取ることができます。
利用者の情報のセキュリティ強化
ウェブサイトやアプリから取得した情報は、Facebookのセキュリティ強化にも活用されています。たとえば、特定のブラウザでアクセスしたウェブサイトに関するデータを取得すれば、不正利用の特定に繋がります。別の国のIPアドレスを使ってアカウントにログインしようとした場合、利用者によるログインかどうかを確認するための質問をすることができます。あるいは、ブラウザが過去5分間で何百ものサイトにアクセスしている場合、デバイスがボットの可能性があることを示しています。追加のセキュリティチェックを行うことで、ボットではないことを確認するようにしています。
製品とサービスの向上
Facebookが受け取る情報は、Facebookに掲載するコンテンツや広告の改善にも役立ちます。たとえば、利用者がFacebookのサービスを利用する複数のスポーツ関連のサイトにアクセスした場合、ニュースフィードにスポーツ関連の記事が優先されて表示される可能性があります。旅行関連のサイトにアクセスした場合は、ホテルやレンタカーの広告を表示する可能性もあります。
プライバシーの管理方法について
マーク・ザッカーバーグが、明言したように、Facebookは、プライバシーは守られ利用者によって管理されるべき大切なものだと考えています。Facebookのツールを使用するウェブサイトやアプリには、情報を収集しFacebookと共有していることを伝え、利用者の方々の許可を得ることを求めています。
利用者の皆様の好みとニーズに合ったコンテンツや広告を表示するために、データがどのように利用されるかを管理するための多くの方法を、Facebookは利用者に提供しています。
- ニュースフィードの設定では、ニュースフィードで優先的に読みたいコンテンツを選び、見たくないコンテンツを非表示にすることが可能です。関心を持つ内容としてFacebookが予測した順番ではなく、時系列でニュースフィードを確認することもできます。
- 広告設定では、過去のウェブサイトやアプリへのアクセス記録から、広告を目にした可能性のある広告主を表示します。これらの広告を表示させたくない場合は、該当する広告主を削除できます。
- また、他のウェブサイトやアプリから取得した情報を基にFacebookに掲載される広告を閲覧したくない場合は、こうした広告を完全に表示しない設定に変えることも可能です。
- 他のウェブサイトやアプリで広告を表示するために、自身の趣味・関心を使用されたくない場合は、そのように設定することも出来ます。
アプリやウェブサイトからの情報であるか、Facebook上で共有した情報であるかに関わらず、利用者が情報をきちんと管理していただけるようにする必要があると考えています。そして、Facebookがどのような情報を所有し、どのように利用するかについても、透明性を高めたいと考えています。今後もさらに、取り組みを続けてまいります。