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開発者カンファレンス「F8」2017:2日目発表内容まとめ

2017年4月19日(米国時間)、Facebookの開発者カンファレンスF8 2017は2日目を終えました。

冒頭の基調講演では、Facebook最高技術責任者(CTO)のマイク・シュローファー(Mike Schroepfer)が、人々がよりよいグローバルコミュニティーを築くうえで、必要となるようなテクノロジーを開発するというFacebookの目標について説明しました。そのためにFacebookは今後の10年、コネクティビティ、人工知能(AI)そして仮想現実(VR)の3つのテクノロジーに投資することを発表しました。

シュローファーの他に、コネクティビティ・ラボ(Connectivity Lab)責任者のイェール・マグワイアー(Yael Maguire)、アプライドマシンラーニング事業責任者のジャクイーン・キンテーロ・カンデラ(Joaquin Quiñonero Candela)、Oculus チーフサイエンティストのマイケル・エイブラッシュ(Michael Abrash)、そしてBuilding 8を率いるレジーナ・デュガン(Regina Dugan)らからアップデートと長年に渡り取り組んできた分野のビジョンについて講演がありました。

 

「F8」2017の2日目の主な発表は以下となります。

コネクティビティ(Connectivity): 本日私たちは、未だ通信環境がない人々に通信環境を提供することと、既に通信環境がある人々に対してもより大きいデータ通信容量と通信速度を提供するという新たなマイルストーンを設定したことを発表しました。私たちはワイアレスデータ送信において以下3つの新たな記録を作りました。

  1. 13km離れた地点間を結ぶミリ波システムのテストにおいて36Gbpsの速度を達成
  2. 13km離れた地点間を結ぶ光クロスリンク技術のテストにおいて80Gbpsの速度を達成
  3. 地上地点から7km離れた上空に旋回するセスナ・エアクラフトを結ぶミリ波システムのテストにおいて16Gbpsの速度を達成

更にサンノゼのダウンタウンで試験運用されているテラグラフ(Terragraph)システムは街全体でミリ波(MMW)技術を採用し、通信において高いパフォーマンスと信頼性を実現した初めての例となりました。
さらに新しい即席インフラシステムであるTether-tennaを発表しました。これは光ファイバーと電力を含んだワイヤーにつながれた小さいヘリコプターを用いて、緊急時に電力を配備することで通信環境を提供するものです。

人工知能(AI): 人工知能(AI)は重要なツールであり、Facebookは人々に素晴らしい視覚的な経験を届けるために最大限活用していきたいと考えています。

AIは、コンピュータが画像や動画を理解し、処理する能力を飛躍的に進化させました。5年前まで、コンピュータは画像を数字の集合体と認識するにとどまっていましたが、今日では画像をピクセル単位で認識することができるようになっています。FacebookでのAI活用の一例としては、人々の興味・関心により近い動画を提供できるようにしています。

Facebookは、AIはすべての人のためのものだと考えており、本日、モバイル上でAIアルゴリズムを構築し、実行することができるオープンソースのフレームワーク「Caffe2」を発表しました。現在アマゾン、インテル、マイクロソフトをはじめとした企業と共にパートナーシップを組み進めています。

また、FacebookやInstagram、Messengerで利用できるAI搭載のカメラ機能もAIを活用した例の一つです。最先端のAIとコンピュータの視覚アルゴリズムをモバイル上で実行することが可能になったため、カメラはあなたの周囲、人や場所、物などを認識することができます。昨日発表したカメラエフェクトプラットフォームは、開発者がよりクリエイティブに表現することを可能にするような新しいツールです。F8ではいくつかのデモ動画を紹介しました。

仮想現実(VR): Facebookは、Oculus RiftやGear VR、Facebookスペース(Facebook Spaces)に至るまで、モバイルやPCのハードウェア、ソフトウェア、コンテンツの全てにおいてVR分野に投資しています。

今日私たちは人々が驚くほどの高画質のVR動画をつくることが可能であるSurround360カメラの最新のデザインを導入しました。最新バージョンでは、今までにないほど魅力的で没入感のあるVR動画を撮影することが出来ます。また新しいカメラ技術では動画シーン内で動き回わり、違う角度からコンテンツを体験できます。

拡張現実(AR): F8 1日目の講演の中でマーク・ザッカーバーグは、初期の拡張現実のプラットフォームとして最初に登場したのはカメラだと語りました。本日、Oculusチーフサイエンティストのマイケル・エイブラッシュ(Michael Abrash)は講演の中で、完全なARとは、光、快適さ、電力効率性を兼ね備え、場所を問わず使用でき、視野と聴覚を向上させるものだとしました。

エイブラッシュは、パーソナルコンピューティング後の大きな波として、VRとARの両方を兼ねそなえるバーチャルコンピューティングの台頭についても述べました。バーチャルコンピューティングはまだ始まったばかりですが、今後時間や空間を超えて互いにつながることを可能にするでしょう。

バーチャルコンピューティングがスマートフォンのように生活の一部として使用されるようになるには、現実世界にオーバーレイされた仮想イメージを表示できる、透明なメガネのようなシースルーの拡張現実感が必要になります。

完全なARを実現するテクノロジーはまだ存在していません。これは今後10年にわたる投資が必要であり、材料科学、認知、グラフィックスなどの分野で大きな進歩を必要とします。しかしそれがひとたび実現されれば、ARは私たちの生活をあらゆる面から向上させ、私たちの仕事や遊び、交流関係に革命を起こす可能性を秘めています。

ビルディング8 (Building 8): ビルディング 8はFacebookのミッションを進化させることを目的とし、消費者向けのソーシャルファーストな新製品を創出することに重点を置いたFacebookの製品開発・研究チームです。ビルディング 8は米国DARPA(国防高等研究計画局)をモデルに、これまでにないような科学技術のブレークスルーと実用性を兼ね備えた革新的な製品の開発を行っています。

今回F8の発表では、革新的な通信プラットフォームの開発を目標とする2つの技術プロジェクトを発表しました。

脳から出るシグナルを使いタイピングができるシステム開発に取り組んでいます。具体的には、脳からの指令で100語/分(通常のスマートフォンに入力する5倍の速さ)の入力が可能なサイレント音声システムを開発するという目標を掲げています。しかしこれは人々の思考を解読しようというものではありません。例えば、写真をたくさん撮影した際、そのうちの何枚かのみを友人などとシェアします。同様に、頭の中ではたくさんのことを考えていますが、その中でシェアしたい思考の一部のみを言語化します。こういった既にシェアしようと決めた言葉などを解読して脳の中心部に伝達するというもので、私たちはこれを、手術など伴わない形、すなわち着用可能なセンサーによって提供したいと考えています。

また、人々が肌から直接音声を感知できるプロジェクトも進めており、肌を通して言語を提供するために必要なハードウェアとソフトウェアの開発を行っています。

本日の発表についての詳細は、開発者ブログ(英語)、エンジニアブログ(英語)のほか、「F8」の講演のビデオはFacebook for Developersからもご覧いただけます。また配信された2日目のFacebook ライブ動画はこちら、追加の詳細情報と製品イメージはF8のプレスページをご確認ください。

 



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