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困難な問題(Hard Questions): 顔認証技術を怖れるべきか

「顔認証」という言葉を聞くと、SF作品のシーンを想像し、不安を感じる人もいるかと思います。この技術を使えば、通りすがりの見ず知らずの人の身元を特定することもできるのではないか。組織や企業が大規模な画像データベースを構築して、個人のプライバシーや権利を侵害することもできるのではないか、という不安です。

政府やNGO、企業などが顔認証技術の新たな利用法を採用するなかで、人々は自分のプライバシーがいかに守られているのか、この技術の使われ方についてどのような選択肢があるのかを理解したいと考えています。

他の多くのツールと同様に、顔認証もよい目的のために使うことができます。例えば、携帯電話のロック解除や銀行口座へのログイン、デジタル決済などを安全にできるようにするといった利用法です。写真を整理して友達を共有するのにも役立ちます。さらに、行方不明者や誘拐された子供の捜索や、旅行者のパスポートが本物かどうかを当局が確認するのにも利用することもできます。

しかし、心配される使い方もあります。例えば、法執行機関によるこの技術の利用について懸念する声があります。あるいは、アフリカ系アメリカ人は他の人種に比べて顔認証システムでの誤認証や認証失敗が起こりやすいとして、人種バイアスの可能性に注意を喚起する意見も出ています。顔認証の規制に関する提案も出されていますが、規制をするべきかどうか、または、どのように規制するかについてのコンセンサスはなく、特に有害な潜在的利用法に重きが置かれていないとして批判されているアプローチもあります。

社会は新たなイノベーションがもたらす恩恵を歓迎しながら、その潜在的可能性をうまく活用するのには苦心するもので、これまでにもこのような葛藤を経験してきました。1888年に写真撮影の大衆化につながる安価なカメラ「ザ・コダック」が発売されたとき、ある新聞は「ザ・コダックに気をつけろ」と書き立て、この道具は「ピクニックの新たな恐怖」だと訴えました。素人でも写真を撮れるという状況に初めて直面した社会は、この技術を制限することもできました。そうなっていれば、過去1世紀以上にわたって、歴史を記録してきた方法は全く違っていたでしょう。しかし、当時の規制当局は、「カメラ技術」の使用認可や写真に写る人からの同意書を義務づけるのではなく、ストーカー行為を禁止する、プライバシー侵害での訴訟を認めるなどの対策をとりました。その結果、人々はこうした初期のカメラに慣れ親しむようになり、やがて社会規範が発達し、個人が写真を撮ることの利益はそのリスクをはるかに上回ると世界が認めたのです。

顔認証とFacebook

Facebookでは、写真に友達をタグ付けする機能に顔認証を利用しています。顔認証を有効にしておくと、当社のテクノロジーがすでにタグ付けされている写真のピクセルを解析し、「テンプレート」と呼ばれる数値文字列を生成します。写真や動画がアップロードされると、それらとテンプレートを比較します。仕組みについては、こちらの動画をご覧ください。

2010年にこの機能を初めて導入したとき、利用者が顔認証をコントロールできる方法についての業界基準はありませんでした。そこで、私たちはFacebook上で利用者の皆さんに通知し、アカウントの設定から、この機能をいつでも無効にできる方法を提供しました。

Facebookは12月19日(米国時間)に、顔認証技術を用いた新機能の導入を発表しました。新機能によって、利用者は自身の写真が投稿された場合、タグ付けされていなくても、通知を受け取り、タグ付けするかどうかなどの選択を行うことができるようになりました。利用者が公開範囲に含まれている写真が投稿された場合に限られますが、プライバシーを管理することができる新しい方法です。他の人が自分の写真をプロフィール写真に使っているのを見つけることもでき、なりすましを防ぐのに役立ちます。また、視覚障害のある方を対象に、写真に写っている人物の名前を読み上げる機能も更新しました。タグ付けされていなくても、顔認証技術によって写真に写っている人物を特定し、その人物の名前を音声で確認できるようになりました。これらの新機能は、カナダとEU以外の、日本を含むほとんどの地域で導入されます。

Facebookの責任

顔認証に関しては、コントロールすることが重要です。私たちはFacebook利用者の皆さんや、この分野の専門家からのフィードバックに慎重に耳を傾けています。私たちには、一部の人々に有害な使い方をされないように対応しながら、この技術の持つ可能性を発揮する形でこれらの機能を構築する責任があると考えています。

Facebookの担当チームは1年以上をかけて、皆さんが望む顔認証技術の利用法について、そして、どうすれば最も責任ある形でそれを実現できるかについてのフィードバックの収集と対応に取り組んできました。皆さんからは、顔認証の仕組みをもっと分かりやすく説明してほしい、Facebook上でできる顔認証の使い方についてもっとわかりやすく情報を提供してほしいといった声が寄せられました。こうしたご意見への対応として、Facebookはニュースフィードで顔認証についての最新情報をお知らせしています。

また、Facebookの設定もアップデートすることにしました。リサーチを通じて、利用者の皆さんは、関連する機能を一つずつ無効にするのではなく、顔認証技術を一括して無効にする方法がほしいと考えていることが分かりました。この技術を利用した機能の導入が増えるなかで、ほとんどの利用者が、長い機能リストを見ながら使いたい機能とそうでないものを判断するよりも、一つのマスター設定を管理するほうが簡単だと感じていました。アップデートによって、オンかオフかで設定を変更できるようになりました。これでは「全部かゼロか」のアプローチだというご批判もあるかもしれませんが、この方法であれば、混乱しがちな様々なオプションについて余分な判断をする必要がなくなると考えています。

最後に、Facebookは全くの他人に利用者の身元を明らかにする機能は導入しておらず、導入の計画もありません。これは、顔認証技術を利用した新機能についてのリサーチを行った際、多くの利用者の皆さんが懸念点にあげていることが分かったからです。

 将来に向けて

Facebook上の顔認証を利用した機能を利用者の皆さんにお使いいただくうちに、利用者の皆さんがFacebookのコミュニティについてどう感じているのか――良い印象か、悪い印象か、あるいはその中間か――について、私たちは理解を深めることができます。アップデートされたコントロール方法に対する皆さんの反応もわかってくるでしょう。私たちはそうした教訓をもとに、Facebook上の顔認証技術をさらに改良し、責任をもって利用するため、私たちの取り組みについての情報を常に提供していきます。

もちろん、顔認証が1888年に登場したカメラと同じ道をたどるかどうかを判断するのは時期尚早です。しかし、私たちは今後も皆さんからフィードバックをいただき、真摯に耳を傾けて学び続けながら、他の企業や組織と協力して取り組んでいきたいと前向きに考えています。

「困難な問題」についてもっと読みたい方は、 こちらをご覧ください。Facebookが他にどんな問題に対処すべきか、何を改善できるか、皆さまからのご意見をお待ちしています。hardquestions@fb.comまでご連絡ください


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